「MaHa」の学的最前線(その4)

ひとまずの「展望」

ここで、私たち個々が立つ地点と本議論との全体的関係を確認するため、これまでの話をまとめ――山登りの途上、開けた尾根上に達してひとつの展望を得るように――ひとまずの視界を見ておきます。

私たちの生命活動、つまり、人生とは、前回末尾に見たように「不定」で、初めから決まっていたものではありません。要するに、生命活動は、本来、その生命自体が在りたいように、やりたいように活動してきたもので、そういうものが生命です。そうした、ランダムな積み重ねが生命なのです。あらかじめ決まった生命原理やルールがあって、それに従わねばならないといったものではく、そういう“体験”の作り出したものです。 続きを読む

サイト訪問統計分析レポート(2024年8月)

この数か月に生じてきたAIによる大規模なインパクトはひとまず一巡したようで、下のグラフが示すように、8月の「日平均訪問者数」(赤線)は、7月の191人から173人へと減少しました。全般として、昨年末以来の一時的なAI津波現象が去って、本来の訪問者数レベルが戻ってきたかと推察されます。

今後の状況を見なければなりませんが、このようにして、「日平均訪問者数」(赤線)が、150~200人の間に落ち着くのは、これまでの変化から見て、順当なものではないかと考えられます。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(その3)

科学が科学から脱皮する

前記の目次から、まず「第1章 カオスと複雑系の時代で」を見ましょう。

ここで挙げられている「カオスと複雑系」と称される新たな科学の分野こそ、科学の最先端の辺縁分野のひとつ――すなわち“非”科学的な分野――への筆頭の取り組みです。

だからこそ同章では、松岡、津田の両者による科学の「新しい世界観を提示したカオス理論」として対話され、その「カオス」がさらに「線形数学から非線形数学へ」と、数学的に解き明されていると紹介されています。平たく言えば、ものすごく高度な数学の分野での、数学機械であるコンピュータを駆使した、シミュレーション解明ということです。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(その2)

早すぎた「惨寿」

松岡正剛さんの逝去に、日本の書店では、彼の諸著書を平積みにした「追悼 松岡正剛」と銘打つ売り場が出現しているだろうと想像しています。そうした彼のじつに惜しまれる「惨寿」なのですが、その死がそのように訪れなければならなかった理由も、先述した3月7日付け「千夜千冊」の「総括表明」のごとく、自身の「内臓」感覚に、豪気な意図に「かまけた」、無頓着であったゆえです。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(その1)

いま、手元に『初めて語られた 科学と生命と言語の秘密』(文春新書 1430)と題する本(電子版)があります。同書は、もうたびたび引用してきている編集工学研究所所長松岡正剛とカオス理論の確立者であり複雑性科学の第一人者でもある津田一郎との対談録です。2023年10月に発行された本ですが、私にとって、タイミングとしても内容としても、もっともエキサイティングな一巻です。 続きを読む

サイト訪問統計分析レポート(2024年7月)

順調な増加基調

この数か月に生じてきたAIによる大規模なインパクトは、この7月ではおおむね解消したかに思われます。下のグラフが示すように、7月の「日平均訪問者数」(赤線)は、6月の186人から191人へとわずかに増加したものの、各部門別はほぼすべてにわたり大きく下落しました。この全減少は、AIインパクトの一巡に、夏枯れとオリンピック視聴の影響が加わった相乗効果と思われます。 続きを読む

第3章 「MaHa」の“生物学的”量子理論

3.1 準備説明

いよいよ、こう言うのも面映ゆいのですが、私にとって、最も挑戦的で興味をかき立てられるエリアに進みたいと思います。

むろんその「面映ゆさ」には理由があって、可能性として、「直観」に混合しがちな〈思い込み〉や「牽強付会な手法」による許容を越える〈手前勝手〉という、質・量ともの不正確さがありうるからです。そしてもちろん、分野的には間違いなく、極めてマージナルな領域への踏み込みです。 続きを読む

第2章 「MaHa」における生物学vs神学

この「自分彫刻」のカテゴリーでは、「『MaHa』の生物学」とのタイトルをもって、《分業》を排した広義な視点から、「MaHa」のいわば“生態系”を解説してきています。そしてその第1章では、「『MaHa』の〈インフラ〉」と題して、具象から抽象へとの二態にわたる生息エリアを示して、制約されがちな自己彫刻像への自由度を広める諸手法を述べました。

このようにして、一個の人間としての制約を乗り越える工夫を論じてきているのですが、そこで本章では、そうであるならば、いっそのこと、無制限な拡大を志向し、絶対的超越的な存在に自らの極大化を依拠するとの発想もありえます。そうした逆照明を求めるような飛躍をもってする方法は可能であるのかどうか、それを点検してゆきたいと思います。 続きを読む

「河童」もどきの〈MaHaプロジェクト〉

アンフェアーなトリック

MaHaに言わせれば、人間って、きわめて完璧なトリックにはめられていて、ほとんどの人はそれにさえ気付かず、そんなものだと決め込んで生涯を送っている。ただ、もしそれに気付いたとしても、時すでに遅しで、もはやそこにすっかり組み込まれてしまっていて、いまさら、やり直しも脱退もできない所にほぼ釘付けにされてしまっている。それにことは、事前には何の相談も、了承を問われることもなく進められてきていて、いうなれば、実にアンフェアーに、そうした重大な自分事が決定済みとされてしまっている、というわけです。 続きを読む

サイト訪問統計分析レポート(2024年6月)

AI津波

この数か月、じつに劇的かつ大規模な変動がおこっており、本サイトの部門別特色を見るのが難しくなっています。それは、AIの爆発的な普及により、変動の波が“津波化”していることが背景にあると判断されます。そこで今月のレポートは、この「AI津波」の変動を出来るだけ均し、そのもとでの変化の分析を行います。

まず、下のグラフは、従来通りに、入手データをそのまま用いた変動です。全体として、5月の異様な突出から急落している様子が見られます。全体動向を見る指標である「日平均訪問者数」(赤線)は、ピークをなした5月の241人から186人へと25パーセント急落しました。また、各部門別の線もいずれも、それにならったようなとがった山を示しています。 続きを読む