02 老いたる「Q」

「MaHaさん、ぼくは二十代の若造なんだけど、こう言っていいのかな、あなたの“相棒”さんは、昔、二十代の頃、こんなことを言ってましたね。」
「さて、どんなことかな。」
「手記にこう言ってます。『自分が二十代の頃、もう十歳も年上ともなれば、その人を、人とは思っていなかった』と。相棒さんはそれくらい、〈老人嫌い〉だったようです。でもその相棒さんは、今やハンパない、老人ですよね。」 続きを読む

01 量子と短歌

「ねえMaHa、君は〈東洋科学〉って用語を作ったけど、僕は僕で、〈老人学〉ってのを提唱したいんだ。」
「その心は?」
「どちらも経験学。つまり、年の功とか、おばあちゃんの知恵とか言われる、そういう長い間に経験してきた知見の蓄積の学。」
「そうなんですね。いま、世界の先鋭たちが、ビッグデータとかメガ知識とかと言ってますけど、そんなこと、すでに人間は、大昔からやってきたこと。それを今頃になって、全世界の本や書物をデータ化するとか、あらゆる知識のメガデータをプラットフォームにするとかって話だけど、そんなこと、どの老人も心してきたことです。」 続きを読む

MaHaと僕のシェアーライフ


イントロダクション   

いよいよ、「MaHa」のキャスティングがここに設定された。

ちなみに、僕は最近、もう完全にリタイア後の日々の習慣となった「運動」を、ことにある信念をこめて《仕事》と呼ぶようになった。そこでもし、「運動」に限らず、僕のこの生活のすべてをもまるごとその《仕事》と捉えたらどうなのか。そうした発想がきっかけとなって、この設定が生まれた。

同様に、これまで「MaHa」を、あくまでも創作上のキャスト、つまり架空のメタ存在として想定してきたのだが、もし、それを「運動」と同等な、リアル存在としたらどうなのか。 続きを読む

サイト訪問統計分析レポート(2024年12月)

2024年は、下のグラフが如実に物語るように、年の前半と後半とが、まったく別の環境にあるかのような、大変化の年となりました。言うまでもなく、これはAIの普及による自動化された検索や要約が広まったためで、その作用を受けるか否かで、ヒット数変化は桁違いのものとなっています。

12月においては、一項目を除き、ほとんどの項目へのAI影響はみられず、全般に、ほぼAI以前状況に帰ったかの感があります。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(補完章)

ここに「補完章」と題するのは、副次的なものを補うという意味ではなく、既述の議論に、学的体系を根本的に異にする新たな視角を加えるという主旨です。すなわち、これまでの9章は、西洋由来の科学を土台に、その方法的規範である〈要素還元主義〉が切り拓いてきた系譜をたどってきたものです。そして、その最終的な到達点が、その要素還元的手法の行き着いた先端に見出される、科学がまさに非科学的な視点を必要としているとも表現されるその冥界でした。そこに、要素還元に拠らないオルターナティブな学的体系として、遠く古代よりの経験的手法を特徴とする東洋の学的体系に焦点が当てられようとしている壮大な変貌を目撃してきたのでした。 続きを読む

サイト訪問統計分析レポート(2024年11月)

〈AI読者時代〉の到来

まずはじめに指摘すべきことは、まさに〈AI読者時代〉の到来です。下のグラフが示すように、直近の三か月において、変化のスケールが激変したことが判ります。従来の生の人間による動向が、AIの登場により、桁違いに増幅され、当サイトへの“交通量”が大変化しているのです。すなわち、“生”の読者がAIの自動支援を受けることにより、瞬時にぼう大なデータを検索し、記事や言説を発見しているのです。これは、まさしく今日進行中の技術上の革命的変化であり、その意味で、本レポートの分析に用いてきた従来のアプリ(Webalizer)の「訪問者」は時代ズレしたものと判断されます。そこで今回より、以下のように、その使用法に修正をくわえてみました。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(その9)

私はこれまで、生活者が身を挺して体験している「のっぴきならなさ」を考察の重要なキータームとしてきています。今回は、連載〈「MaHa」の学的最前線〉の最終回として、この「のっぴきならなさ」が提起している、そこに潜んでいた学的な三領域にわたる意味を述べて、この一連のテーマのまとめとします。

前回では、松岡・津田対談『初めて語られた 科学と生命と言語の秘密』の最終章である「第11章  続きを読む

サイト訪問統計分析レポート(2024年10月)

「AI読者の出現」の様相

下のグラフのように、訪問状況は様相が大変化し、新たなフェーズに入ったかの感があります。すべての部門ではないですが、ほとんどの部門で、数倍から十倍以上もの桁違いの増加が見られ、あきらかに、AIの普及による新たな読者傾向、「AI読者の出現」と見るべき状況となっています。

〔注〕表示期間を2年間に縮小

10月の「日平均訪問者数」(赤線)は、9月の287人からへと400人へと、先月に続いてさらに100増し、最高値を更新しています。9,10月の二か月間で2倍の伸びです。かくして、訪問状況は、従来の生な読者から「AI読者」による――株用語で言えばレバレッジのかかった――、激しい変動をもった変化状況に移ってきています。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(その8)

今回の焦点は、「日本の哲学」とも称される西田幾多郎の哲学にあるのですが、前回では松岡・津田両氏の対談に見出される「主知主義の勇み足」とともに、両者の――ことに松岡編集工学論の――議論のハイライトである「日本の文化」に、なぜかそれが取り上げられていないことを指摘しました。

その松岡・津田両氏の対談の最終章「第11章 神とデーモンの変分原理」では、対談の締めくくり――先述したように松岡氏の事実上の絶筆レベル見解――をしています。その際、科学思想の発展の潮流をめぐり、1920年代のヨーロッパ哲学において、伝統の身心二元論への批判が出始めていたことには触れられています。にも拘らず、同時代の日本においても、同質な批判に根差した日本的哲学の萌芽が、独自な発想をもって出始めていたことには触れられておらず、両者の議論は一挙に、戦後の“電脳”時代へと跳んでしまっている、ひとつの「見過ごし」があります。 続きを読む