第3部 「〈心〉理学」はプラクティス

MaHa 「〈心〉理学」には「学」という文字が使われているけど、厳密には学問ではないよね。むしろ、一定の学的知見を活用した、生きる上でのプラクティス、いわばノウハウ。

相棒 そこでですが、この『フィラース』と兄弟サイトの『両生歩き』は、それぞれの役割を担い合っていることはすでに述べました。つまり、前者を〈メタ旅〉の、そして後者を〈リアル旅〉の、それぞれのナビゲーション役を果たしてきていることです。 続きを読む

2.05 「旅心」という必須予感

まえおき
兄弟サイトの『両生歩き』の直近号では、先に実行した中央アジア旅行で実体験した「不思議な遭遇」について述べて(居酒屋談35号独想記32号参照)きました。また来たる7月22日号では、その「不思議」について、その発生の仕組みの解明にこころみます。一方、本サイトでの前回では〈「行動先行遭遇」説〉と題して、何はともあれ先行する実行動が、そうした「遭遇」の前提であると論じました。つまりこれら二つのサイトにわたる議論とは、「旅」という先行行動をめぐって、「不思議な遭遇」の体験というリアル面と「行動先行遭遇説」の提唱というメタ面を、それぞれ分担して述べてきたこととなります。そこに、この〈「行動先行遭遇」説〉を土台にこの22日号の議論を加えることで、その不思議発生の仕組みへの、両面よりの合わせた視界が提示されるにいたりました。そこで、本記事の発表は22日を待たない先走りとはなるのですが、こうしたリアルとメタの関係をあらかじめ提示する意味もふくめて、ここに先行発表するものです。

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2.04 「行動先行遭遇」説

相棒 ともあれまず先に名前をつけたんですが、それは「行動先行遭遇」って言うんです。

MaHa なんだねそれは?

相棒 先に日本での残雪山行や、今度の中央アジア旅行でもそうだったんですが、ある直観的な決断のもとになんらかの行動をとると、その結果に、予想もしなかった思わぬ偶然的な遭遇がもたらされるということです。そしてその遭遇がすばらしいんです。そこでそれを「行動先行遭遇」と名付けたんです。 続きを読む

2.03 「並行宇宙」論と共に

相棒 前回までに、日本での山行という実体験が「ワームホール」となった、一見SF風な、人間量子存在へと発展する話がありました。それは、学術論的には大いに飛躍があるんだけど、人間論として、ことに生活者の立場に立つ、待ったなしのリスクを負っているナマの話でした。そして、量子理論に見出されることが、なんだかそうした学術論界隈のやたらややこしい話を吹っ飛ばして、一気に人間側、少なくとも、生きている命の側へと導いてきてしまうようなところでした。そこで、まさにその学術論に生命を与えるかの量子理論の心髄に注目したいんです。つまり、それこそが、テーマである「〈心〉理学」としての核心であるはずなんです。 続きを読む

2.02 人間にまつわる量子現象

MaHa 私の〈観測〉1 を述べたいのだが、かまわないかな。それはね、今度の君のエッセー「〈続〉 残雪の山歩きで見えてきたもの」で扱われたテーマなんだが、それは、アニメ手法と山行手法という二つのワープを通じて到達した、宮崎の言う「あらゆる夢は呪われた夢」との人間事実、つまり、そういう〈収縮〉2 だったと言っていいよね。そして、そういう〈収縮〉が、今や世界の若い世代に、それを量子的現象と認識しているかどうかはともかく、共有されつつあるという状況。 続きを読む

2.01 論文は似合わない

MaHa ねえ相棒君、いよいよ「〈心〉理学」を始めるようだが、どういう風にやるつもり? それに、ちょっと注文をつけていいかな。

相棒 はい、何でも言ってください。どういう注文でしょう。

MaHa そもそも君の構想しているその「〈心〉理学」ってやつは、いわゆる科学じゃあないんだろう。私の理解では「非科学的学問」、つまり、従来の科学の枠組みには捕らわれない学問というか、知的体系というか、そういうもんだろう? 続きを読む

第2部 「〈心〉理学」へのアプローチ

第1部でのいろいろなエピソードを足掛かりとして、いよいよ、「〈心〉理学」を組み立ててゆく段階に至ってきました。ただ、ひとくちに「〈心〉理学」と言っても、そのカバーする範囲はぼう大な領域です。そしてそれがどれほど大きいのか、今の段階では、その全貌すら描き切れません。そこでこの第2部では、その全体像へのアプローチとして、MaHaとの対話をランダムに重ねながら、それを探ってゆきます。 続きを読む

1.07 〈心〉の機は熟した

前回の話からすると、どうやら君の言う「〈心〉理学」も、その体裁を整えたようだね。その次のステップに進む用意ができたように見えるよ。そこでね、私からの提案なんだが、君が提示した図に私の期待を込めて、もう一つの図を示したいんだ。

「〈心〉理学」については、まだまだ、そのとば口でウロウロしている段階ですが、MaHa、それはどんな図ですか。

いや、図的にはごく簡単なアレンジに過ぎないのだが、このような図だ。 続きを読む

1.06 〈心〉の「フィラース」

まずはじめに、上の題名にある「フィラース」とは、言うまでもなく、本サイトのタイトルの「フィラース Philearth」のことで、もともとこのタイトルは、以前に述べたように、私らが若い時代に考案した造語です。それを再度説明しておきますと、「愛智」の「Philosophy」と「地球」の「earth」という二語を重ねた語で、その遠き時代の「愛地」というアイデアリズムを、それから半世紀後の今日によみがえらせたものです。 続きを読む

1.05 《〈心〉運動起源説》

前回では、日本はいまや〈心〉の先進国ということで「落ち」となりました。そこでMaHaの言うその〈心〉の世界ですが、もっと詳しく知りたいとところです。そこで前回の発展として、その「落ち」をもらって僕なりに納得したことがあります。それは、僕が体験的に確かめてきている、「〈心〉は運動によってつくられる」という、いわば《〈心〉運動起源説》です。

〈心〉の発生源としての「運動」
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