最終章 私式「双対性」の在り方

これまでの7章にわたって、先の「理論人間生命学」の中核概念――「生命情報」――を多角的に描写してきました。そしてここに最終章を迎え、そのように積み重ねられてきた考察を集約し、新たな進展へと展望する、以下に述べる二つの役割と位置付けを確認して、そのまとめとします。

そこでこの「二つの役割と位置付け」ですが、それは、第7章の〈「究極のゴール」との《収れん》〉というタイトルに示唆されています。つまり、その第一は、その「究極のゴール」が、私の具体的人生への「役割と位置付け」――言うなれば「道標」――として、そうであるだろうということです。 続きを読む

第7章 「究極のゴール」との《収れん》

まずはじめに、読者の皆様には、行ったり来たりのお手間をとらせることとなり、まことに申し訳ないのですが、その往復は、この〈非科学-科学〉の構想の創発的バックグラウンドをなす、《双対的》枠組みとその発展である《収れん》の一つの具体的在り方であることを、それをもって例示する意味を持っています。そしてそう往復することによる一種の距離感や移動感こそ、〈非科学-科学〉の構想の量質感の具体的な手ごたえとなるはずです。 続きを読む

第6章 結局、「科学」って、何?

二本の柱

本2023年のその年末に向かって、建ち上がってきている二本の柱があります。

その第一は、12月初めより始めた、兄弟サイト『両生歩き』の「リタイアメント・オーストラリア」への、《「人生二周目」独想記》の掲載があります。そしてその12月22日号に「山頂なき登山」とのタイトルの次記事を載せます。そこに述べられる要点は、「ガン付きの健康」を持ってする自人生の究極のターゲットは何か、との問いです。 続きを読む

第5章 私たちの「科学」へ

準備からの一歩

前章では、目標とする「非科学な科学」に向けて、その準備である「中間的体験」を論じました。そこでその準備の上に立って、本章では、ひとつの創造的直観を手掛かりとして、いま一歩、その目標に近づく方途を探ってゆきます。

そしてこの「創造的直観」ですが、それが何かを言うのは容易でありません。いきなりパッとやってきて、そこがスタートでもありながらゴールでもあるような、突如として発火する何ものかです。ここではむしろ、それを説明するためにこそ、本章の議論を進める必要があります。 続きを読む

第4章 準備的アプローチ

約一か月の中断を経て、再び、この「生命情報」の議論に戻ってきました。

私は過去一か月間、日本を再訪していたのですが、その日本滞在中、この「生命情報」とまでは言えない、いわば従来的日常体験をしながら、それでいて何かこれまでとは違った、一種〈中間的〉な体験を重ねていました。

そこでこの「〈中間的〉な体験」とは何かですが、それを図示すると以下のようになります。

つまり、私はそこで、既述の「人生体験」と「非科学な科学」との間にあって、ひとつの過渡的な体験をしていたと言えます。言い換えれば、人並みな「人生体験」をしつつ、そこから抜け出た、それでいて「非科学な科学」とまではちょっとしにくい、両者の中間にある体験です。いうなれば、「人生体験」以上、「非科学な科学」以下なものです。 続きを読む

第3章 自分を〈科学〉する

本章やそれ以後の章で、〈科学〉と科学を括弧付きで表示するのは、既述した「非科学な科学」という意味です。そうした見地に立って、本章は「自分を〈科学〉」してゆきます。

「時空」という世界

私にはこの数十年、しだいに強まって抱いてきている一つの思いがあります。それを凝縮して述べと、「空間」と「時間」という二つの概念がしだいに融けあってきて、あたかも「時空」という一つの概念があるかの思いです。 続きを読む

第2章 「人生学」とは

前章をさらに進めて、「人生学」を以下のように定義します。

人生学とは、私たちの人生全体を対象とした、人生体験を実験と捉え、その体験を、長い時間と多数の事例をベースにデータ収集し、それを分析、体系化する科学です。

そして、この人生学を「非科学な科学」というのは、従来の科学が、人生といったようないかにも煩雑な出来事を実験とはみなさず、その対象から排除してきたからです。そのような「非科学な対象」を科学と見なすことによります。 続きを読む

第1章 非科学な科学

1.科学という秩序

まず最初に、ひとつの問いをあげます。それは、「正しい生き方」というのはあるのだろうかとの問いです。言い換えれば、「人生の指南書」あるいは「人生マニュアル」と言ったものはあり得るのだろうかとの問いです。そこでのその「正しい」とは何か、それをどう表すのか、ということです。

むろん、その「正しさ」を表した“自称正論”は、自己信念から世間常識、政治理念そして宗教教義に至るまで、それこそ五万とあります。 続きを読む

第0章 舞台裏を明かす

この「生命情報」とのカテゴリーでは、すでに「はじめに」のなかで、6っつの話題を提示し、その「生命情報」についての異なった角度からの具体的なイメージを表してきました。

それに続いてこの第0章との少々異例な章を入れるのですが、これは、この先に進めるための準備としての章で、必要な説明を提供するためです。

冒険的な作業

これまでの作業に、悪く言えば「闇雲に」、良く言えば「直観的に」、そしてともあれ「唐突」にでも、前に進ませることを優先しようと思います。動きのないところに、体験も発見もありません。 続きを読む

身近な「アスペ人間」

「アスペ人間」とは

この「アスペ」とは「アスペルガー症候群」の省略です。そして本稿では、「アスペルガー症候群」の兆候を持つ人のことを「アスペ人間」と呼ぶこととします。ただし、この呼称に差別視は一切ありません。

ウィキペディアによると、「アスペルガー症候群」とは、〈コミュニケーションや興味について特異性が認められるものの言語発達は良好な、先天的なヒトの発達における障害。本診名はなく自閉症スペクトラム障害の中に位置づけられる 〉とあります。 続きを読む