相棒 MaHa、僕、来年で80歳になるんです。80と言えば、もう、けっこうなジジイのはずです。そうなんですが、その前の一年をその「前夜」としてここにタイトルを起こし、なにやら張り切っているんです。ちょっと常道から外れていますかね。もちろんこの一年に何が起こるか判らないところはありますが、その「前夜」の実際の様子は兄弟サイト『両生空間』にも述べています。
MaHa 80か、確かに、いよいよの大台だね。平均的には、81歳が寿命ということだし。でも、君とこうして面と向かってると、そんな寿命まであと二年の歳だなんて到底見えないんだが、まあ、数字は数字として、受け入れておくか。
相棒 そこでこの一年がかりの「前夜」で、その大台へのひとつの見取図ができつつあるんです。まだまだ、ラフスケッチでしかないですが、僕なりの今後への観測です。
MaHa さて、どういう観測なんだろう。
相棒 大筋だけを拾っていいますと、生身の人間の物的存在部分は、「4.02」で触れたように、それこそ「シンギュラリティ」に取って代わられ、だからこその〈逆シンギュラリティ〉です。そしてその「逆」の存在意義を言えば、まだＡＩが果たせない、生命再生産機能を柱とした、いわば生殖、あるいは、セックス人間化です。加えて、これまでの過去においてそれが人生の大半だった労働、つまり物的生産の働きは、もう、ＡＩと自動機械が結合した完全オートメーションでなされるようになるのは時間の問題です。つまり、食うための仕事といったことは、さほど遠くない将来に、もうなくなってゆくということです。他方、生身の人間の非物的、すなわち〈心〉の部分は、これこそＡＩが入り込めない神聖域として焦点となり、それが命ある人間の独断場として展開されます。つまり、体と心という二つの機能は、もう分断されたものとしてではなく、まさしく生身の人間のうちに結合され、生命機能の維持、発展の方向として進化してゆきます。かくして、「物」的生産と〈心〉的生産に二分化された世界は、ある意味でかつての「ローマ帝国時代」に似ています。つまり、生身の人間はローマ市民として生き、その物的生産はＡＩロボットというローマの奴隷に相当するものたち働きによってなされます。おそらく、このそれこそ真の「第四次産業革命」の達成は、長くてもこの先の50年くらいでおこるのではと予想します。
MaHa 大筋だけとしてみても、すごい変化なんだが、それは当たっているだろう。むろんその過程で、様々な紆余曲折、ことにＡＩ搭載完全自動生産への移行がその成果分配や貧富の差をめぐりどれだけ軌道を外さずスムーズに行くかがあるだろう。だが、それも長い目と人間の「情知」をもって解消され、この先の半世紀くらいでその「第四次産業革命」が完成されるだろうね。
相棒 トランプのMAGAにしても、そのアメリカが移民を排除した純粋アメリカンドリームの国だと見れば、それが現代版ローマ帝国としてのアメリカ帝国と見れなくもないです。それに、そのアメリカを含めどの国でも起こっている労働力不足問題の解決に、このＡＩ搭載完全自動生産方式は、移民をめぐるいざこざを回避できるその最適解になるのは確実です。
MaHa 聞きようによっては、その来たる社会の「セックス人間化」は、スケベおじさんたちが喜びそうな話だが、それより私としては、男女つまり雌雄が生命発展の根底原理であるわけだから、そこに帰着してゆくのは当たり前のことだろうし、これまでの地球上での生命進化の過程の上でも、理にかなっているだろう。量子論上で言っても。
相棒 これは僕の私見なんですが、この男女あるいは雌雄という量子論で見れば「双対性」は、格差を除外しようとする平等化として平準化してしまって済むこととは別問題であるように思うんです。言い換えれば、その双対性の対比が顕著であればあるほど、その矛盾の解決のための深化もより進むんじゃないでしょうか。それくらい、男女あるいは雌雄は違っていて、だからこそ面白い。
MaHa そうなんだよ。それが格差なのは資本主義制だからのことであって、「LGBTQ＋」の問題とは違う。「LGBTQ＋」は個々に違って存在する生命の多様性の問題であって、それと資本主義がもたらす男女格差とがごちゃ混ぜになっては、せっかくのその多様性が台無しになってしまう。
相棒 そんなこんなの紆余曲折を経ながら、こうした大筋に向かう流れは起こってくるでしょう。でもそこで私的には、いくらその「三周目」にどう張り切っても、あと50年も生きて、その革命的変化を見届けるということにはならんでしょう。だので、せめてその取っ付きにあって、こうした大筋の流れを積極的に取り上げ、それに沿うようにしたいだけです。
MaHa それで、ＡＩ搭載完全自動生産の「第四次産業革命」が、資本主義の復活に堕さんように見張らなければ。
相棒 人類、そこまで愚かでないと信じます。