4.01 「人・時」という容量

MaHa 君が先に兄弟サイトの記事「『未来邂逅』というビジョン」でも述べていることだが、高齢化する社会の「長生き」の効用とも関連して、人のライフスパンの働きが成す一種の総量に注目したい。社会的に言えば、高齢化社会が成す人的構成の厚みのある社会という視点だ。

相棒 もうちょっと、噛み砕いて言ってくれますか。

MaHa つまりだな、そこで君が説いているように、自分の人生での老若の隔たりをあたかもタイムスリップ体験して同時的に受け止めるならば、それをそういう個的視点においてだけではなく、一種の共存的な、社会的、世界的視点において、老若みんなの共同的体験として受け止めれることだよ。

相棒 昔っぽい言葉ですが、共同体体験ということですか。

MaHa ある意味では、古い在り方を見直すことも含まれるが、むしろ、今日でのその新しさということだ。つまり、現在、実際に君も感じているように、今日のような「有事」だの、防衛予算大幅拡大が現実に主張される危うい雲行きになっている時、そうした一部の突出した意見よりも、大多数の人たちの意見こそ、主張されなきゃならない。それこそ、共同体の意見だ。

相棒 その共同体で、こんなに誰もが貧困化している時に、軍事予算が拡大していっている。

MaHa そんな時、誰もかれもが疑心暗鬼に捕らわれて行って、それこそ、何かの影におびえて、ミサイルのボタンを押しかねず、ヘタをすれば、世界壊滅の事態にさえ至ってしまう。
 いうなればね、「人類、ちょっと落ち着けよ、一握りの威勢のいい輩に煽られていていいの」ってこと。

相棒 しかし、そういう輩をへこますに足る、そんな大物政治家が世界にいるとは思えませんが。

MaHa つまりだね、いまこそ、そんな危ない現実主義に傾いてはならないということ。

相棒 ならば誰がその大役を担うんですか。

MaHa 君だよ。

相棒 えぇー、僕がですか?

MaHa むろん、一人の君という話ではなく、たくさんの君。つまり、人間だれもが一人ひとり立っている基盤の共有ってこと。そしてそこに、世代構成の厚みをもった、総量の人間の力ということ。

相棒 確かに、われわれ高齢者には、「戦争は絶対にダメだ」との気運は強いです。

MaHa そう、昔の人間が愚かだった時代を記憶しているからだが、そうした長い目を含めた、人間社会の総量を表す単位として、「人・時」という、一種の容量を計る尺度が要るね。たとえば、水量をはかるリットルみたいな。

相棒 なるほど、それを「人数(n)×年齢(t)」とすれば、現時点でのその容量は nt となるし、過去とのタイムスリップ視を加算するなら nt2 ということとなる。こうしてその考えを数式化できれば、AIのアルゴリズムにも持ち込めますね。

MaHa まあ、AI上の技巧はその専門家に任すが、ともあれAI的にも利用できる、その「人・時」という総量の視点の重要さであり、高齢化社会として実際に帯び始めている社会的な厚みの使い方ということだ。
 そこでだがね、そうした視点において、あらためて、これまで述べてきた「〈心〉理学」に焦点が当たる。

相棒 そうですね、人と人を結び付ける「情知」と言うのが、「〈心〉理学」の核心であるのは確かです。

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