前回の話からすると、どうやら君の言う「〈心〉理学」も、その体裁を整えたようだね。その次のステップに進む用意ができたように見えるよ。そこでね、私からの提案なんだが、君が提示した図に私の期待を込めて、もう一つの図を示したいんだ。
「〈心〉理学」については、まだまだ、そのとば口でウロウロしている段階ですが、MaHa、それはどんな図ですか。
いや、図的にはごく簡単なアレンジに過ぎないのだが、このような図だ。

なるほど、右上がりのコバルト矢印が加わったわけですか。
そう。ただしこれはね、これまでの図のように過去の趨勢としての矢印ではなく、今後に向かうべき、あるいは、向かいたい方向としての未来的矢印。おこがましく言わせてもらえば、私のこの世界への切なる念願。
「〈脆弱〉から〈天才〉」へとの方向ですか、MaHa。
いや、それも含むがそれはほんの一部。ここでは図の中央に示したのでそうと見れるが、むしろその本意は、「右上がり」の方向ということ。つまり、その出発点がどこであろうと、「右上がり」の動きをしよう、そしてしたい、ということ。
ということは、必ずしも「〈脆弱〉から〈天才〉へ」というわけではなく、たとえば、〈大衆〉象限の「左下」コーナーから「右上」コーナーへとか、〈脆弱〉象限の同じく「左下」コーナーから「右上」コーナーへの動きでもいいということですか。
そういうこと。要するにだね、過去の趨勢である、総じて「下向き」ことに「右下がり」なそれでなく、「もの/こと」として縦にも横にも「大」の方向に向かおうということ。それはすなわち、「もの/こと」としての〈心〉を、幅広くで包容性のある新たな何かにしようということ。
つまりはMaHa、これまでの趨勢のままなら、私たちは互いに歯をむき合って競い合い、最後には共倒れにもなりかねず、誰にもいいとこなしというわけですね。今のトランプの関税戦争のように。
そのトランプの場合、無邪気というか確信的というか、それを政治に混同させるまでものマネーゲームの上でのその勝負追求で、それはそれでもう、大統領としての軌道から外れている。しかも、それが他国の政治的、民族的独裁者を刺激して、まかり間違えばそれこそ本当の戦争をも巻き起こしかねない。つまり、そうした危険な結末をもたらしてきている根源とも言うべき赤や青という因果な矢印に代わって、いまや人類はコバルト矢印を必要としている。だからそれは、希望への矢印というばかりでなく、これまでの文明や科学の方法論を改める動きにも結び付くものだと思う。それを期待して、相棒さん、あなたの提唱する「〈心〉理学」も、そういう意味での大いなるポテンシャルを持っていると思うんだ。
そうですか。そう言ってもらうと心強いと言うか、面はゆいというか、身に余ります。ともあれ、ということはMaHa、いよいよ、本格的に「〈心〉理学」に取り組んでゆけということですか。
その時期に来ているということじゃないかな。