「ねえMaHa、君は〈東洋科学〉って用語を作ったけど、僕は僕で、〈老人学〉ってのを提唱したいんだ。」
「その心は?」
「どちらも経験学。つまり、年の功とか、おばあちゃんの知恵とか言われる、そういう長い間に経験してきた知見の蓄積の学。」
「そうなんですね。いま、世界の先鋭たちが、ビッグデータとかメガ知識とかと言ってますけど、そんなこと、すでに人間は、大昔からやってきたこと。それを今頃になって、全世界の本や書物をデータ化するとか、あらゆる知識のメガデータをプラットフォームにするとかって話だけど、そんなこと、どの老人も心してきたことです。」
「生身の人間に限りは避けられないが、方法としては、同じだね。要は、そうした体験知のぼう大な集積を、装置頼りでなく、人間自身がどう活用するかってこと。つまり、数理的アルゴリズムに成り代わられない人間学。」
「たとえば、どんな風に?」
〈もつれあい〉 量子の告げる双対界 君にあふれる 柔きぬくもり