2.3 「宗教」という独自領域

 

「宗教」と「超然現象」

私は、もしそれが何かと問われれば「無宗教」と答える、宗教について一線を引く部類の人間です。

浅い教養程度では、聖書や仏典の片りんくらいはかじった経験はありますが、教会やお寺に意図して通ったこともなく、日常生活で接する時折の布教への誘いも、無碍に断り続けてきています。また、家族関係において“葬式仏教徒”程度には伝統的しきたりには従ってきています。 続きを読む

2.2.2 「生きていく」思想(その2)

 思想体系という利器

用語上の原点

ところで、「理論人間生命学」がになうの最大の課題は、いわゆる「科学と非科学」の境界をどう突破し、すでに述べてきた「二重性」の融合がどのように達成されるのかの探究にあります。この問題は、ある意味では、人間の文明がかかえてきた懸案と言ってもよい課題です。

その「 理論人間生命学 」と、本章で取り上げてきている思想体系のひとつとしての「 〈いのち〉の 続きを読む

2.2.1 「生きていく」思想(その1)

 「科学」体系と「思想」体系

「二重性」という出発点

私は、これは誰にもある認識だと考えるのですが、生きる世界とは二重構造になっているとの受け止め方をします。それは、言い古された表現では、「本音と建て前」とか「理想と現実」とか「この世を忍ぶ仮の姿と真の姿」、あるいは、見方を広げれば、「陰と陽」、「プラスとマイナス」、ひいては「雄と雌」などなどが挙げられ、そうした構造を代言しています。 続きを読む

2.1 実験原則の新たな適用

「自然実験」という新ツール

11月28日付の日経電子版の「Global Economics Trends」によると、〈今年のノーベル賞に決まった「自然実験」は、「政策の効果検証に革命」〉とあって、「自然実験」という見慣れない用語を紹介しています。

そこで、この記事を要約してみるとこうなります。

これまでの理論中心の経済学では、制度改革などについて理論が想定する影響を、統計データなどを使って検証しようとしても、改革の前後のデータを単純に比べるだけでは、効果を正確に測定するのは難しかった。例えば、最低賃金の改定や移民問題、教育の効果など社会全体への影響を分析するような場合には、研究者が条件を変えるといった介入ができないため、実験には適さないと考えられていた。

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