帰還に成功した「はやぶさ2」が旅した52億キロを、僕の運動の標準ペースであるキロ8分で走ると、約8万年を要する計算となる。
8万年間の宇宙の旅と言えば、僕にとっては、むろん途方もないもので、生身の尺度では実現し難い「運動」である。
これを人生80年とすると、1000回の輪廻転生という「繰り返し」、あるいは、1000人が次々とリレーする「伝授」と見れる。
今の時点ではまだ未回収だが、その長旅を終え、南オーストラリア州の砂漠のどこかに舞い降りているそのカプセルは、わずか直径40センチの円錐状の“容器”という。
片やの科学技術上のそうしたリアリティと、他方の想念上のそんなイメージという両端を見やりながら、その両端を底辺とする三角形を描くように、己(おのれ)という生命の所産を受け止めている。
【初期の更新には計算の誤りがありました。お詫びして訂正いたします。】