MaHa 参院選が終わったね。メディアはその結果を、「右派ポピュリズム」化と特徴付けている。いよいよ、日本も世界の潮流に乗ったようだね。つまりこの結果は、これまでのオールドリベラルとオールド左翼のなす両勢力への拒絶の現れとの分析だ。そこでだが、そうした形骸化した既存政治勢力への「NO」の声が実りだしたとの面では歓迎できるのだけど、「右傾」や「自国ファースト」、つまり排他主義をバネとした動きであることには危なさがある。これで行くと、各派が内にこもって自国、自テリトリーのエゴばかりが前面に出て、不必要な対立どころか、取返しのつかない紛争の事態も生じかねない。そして、そこに割って入ってくるのが愚かに勇ましい武装思想で、その影響が広がれば、軍事産業までが気を吐き、実際の武器使用論すら始まることになる。それの行き着く先は、終極的にはオール核武装ワールドであり、核抑止力論に立った人類の壊滅と背中合わせの狂態シナリオだ。
相棒 つまりそれって、昨年のヒロシマ・ナガサキ被爆者団体へのノーベル平和賞授与、つまり核廃絶運動への反対方向を潜在させている動きって言うことですよね。でも、「ポピュリズム」って、そもそも民主主義あっての動向でしょう。それが、世界平和、つまりみんな誰もが平和に暮らそうよって考えに逆行しようとしている。そんな、「ポピュリズム」って、自己矛盾じゃないですか、MaHa?
MaHa その視点は、君も先に「先が見えないからこそ原則に」に書いているね。そうした〈先の見えないやり場のなさ〉は、すでに誰もの心境だろう。そこで、「自分たちファースト」で自分たちの独自性を主張するのはいいんだけど、それが“よそ者排除”に向い、さらに「有事」発想から、武装論に行き着いてしまってはいかん。だからその前に、その「原則」に立ち返る必要があるってのはまさに正論だ。その点では、暑い夏とともにやってくるこの日本の反戦・平和祈願の時季に、特に今年は「ノーベル平和賞」という世界からの注目を時宜として、日本人としてのヒロシマ・ナガサキの体験をみなでシェアーして、それこそ「平和ファースト」として、まとまるべきだよ。
相棒 もう選挙も終わったのだから、票になるならないの議論は終わりにして、本筋に立ち帰るべきです。そこでなんですが、どうも、こうした筋の通った話に横やりを入れてくるのが、もっともらしい現実論を並べる人たちです。そしてこう言うんです。「たしかに平和は大事だが、相手が戦争前提で武装を強化しているんだから、平和、平和って言うのはむしろ現実無視で、相手の思うつぼだ」。この議論って、相手側でも同じように使われているだろうし、要するに、相互不信に火を付け煽り立てる、悪循環をなして一度入ったら抜け出せない、泥沼論ということです。
MaHa 今、確かにその悪循環をどこかで断ち切らないと、世界中が不信の輪の奈落に、どんどん落ち込んでゆくね。そして人々の生活苦をよそに、軍事費というぼう大な無駄が消費されてゆく。
そこでだよ、その相互不信の愚かさを説き、平和の大切さを本気で打ち出せる国はどこかと言えば、それは世界で日本しかないという他方の現実論だ。
他の主要国はみな核武装をしていて、その平和に背をむけた構えからは抜け出せない。
つまり、核も持たず、平和憲法をかかげている日本ほど、その泥沼論の不毛さを訴える説得力を持つ国はないだろうと言うことだ。
相棒 それを率いれる、そんなすごい政治家が日本から出てくるとは思わないんだけど。
でもその一方、日本人って、世界一、平和的な人たちであることは確か。外国人に言わせれば、信じられないほど、無防備な人たち。
これって、島国であることも関係してるだろうが、やはり、戦争体験という悲惨な遺産が働いていることも間違いない。つまり、政治家には期待できないが、自分たち自身にはちょとくらい期待を置いてもいいんじゃないかって思ってるんです。
MaHa 日本人全体がそう動けば、新たな政治家も出てくるかもね。そうした日本人の強みと弱みがあるなかで、ただ、現在のそうした状況頼みだけでは、心もとないね。つまり、そうした情勢を組み立て直し、そこに骨格を与える、確固とした構想が必要なんじゃないか。それなくしては、だだ、時の流れにまかせた、方向性のない漂流で終わりかねない。
そこでなんだが、私はね、君がこころみてきている「〈心〉理学」に期待するんだが。
相棒 それって、ちょっと、期待しすぎじゃないですか。そんな大それた構想でやってきているんじゃないですよ。ただ、自分の体験から言える範囲のことをまとめてきただけです。
MaHa まあ、ことの経緯はそうだろうし、それでOKだ。だが、意外に本人には見えていない、客観的な意味みたいなものもある。君は気付いていないかも知れないが、その「〈心〉理学」に託されている見方は、けっこう誰もが内心に抱いていることだよ。ともあれ、君と私の間のよしみもあるが、私は君の「〈心〉理学」を大いに買っているよ。
相棒 そう言っていただけることは嬉しいんですが、もしそうだとすると、なんだか責任重大になってきました。でも、それにしても、いったい、「〈心〉理学」のどこを買うんですか、MaHaは。
MaHa それを、これから、確かめてゆきたいんだよ。「右派ポピュリズム」からの脱出法としてもね。