〈AI読者時代〉の到来
まずはじめに指摘すべきことは、まさに〈AI読者時代〉の到来です。下のグラフが示すように、直近の三か月において、変化のスケールが激変したことが判ります。従来の生の人間による動向が、AIの登場により、桁違いに増幅され、当サイトへの“交通量”が大変化しているのです。すなわち、“生”の読者がAIの自動支援を受けることにより、瞬時にぼう大なデータを検索し、記事や言説を発見しているのです。これは、まさしく今日進行中の技術上の革命的変化であり、その意味で、本レポートの分析に用いてきた従来のアプリ(Webalizer)の「訪問者」は時代ズレしたものと判断されます。そこで今回より、以下のように、その使用法に修正をくわえてみました。
新項目「総ヒット数」の追加
これまで、読者の全体動向を見るために、「日平均訪問者数」(赤線)を用いてきました。この指標は、特定記事についての一定時間の停滞を条件としており、生の読者のマニュアルな動向を反映するものです。しかし、上記のごとくの〈AI読者時代〉の到来により、そうした条件は限定的意味しか持たず、いまやAIアシスト読者は、瞬時で検索した記事を閲覧しています。
そこで今回より、「総ヒット数」(赤二重線)という新たな項目を追加――その数値は桁違いのため、グラフには十分の一にしてプロット――しました。これは、生なものと機械的な自動のものを合わせたすべてのヒットを合計したものです。
こうした二つの指標により、生の読者とAIアシスト読者の両者の動向を別々にチェックすることができます。また、このAIアシスト読者の変動は桁違いで、著しい時には、一夜にして千倍以上にも“爆増”しています。
なお、この新項目の追加により、従来「フィード」(ピンク点線)は、削除しました。
人間読者の方がAI読者より「気まま」か
こうした新分析法において、11月の「日平均訪問者数」(赤線)は、10月の400人から337人(15.8%)へと減り、その一方、新設の「総ヒット数」(赤二重線)は、10月の71,398(9月からはほぼ倍増)から66,026(7.5%)へと減少しています。
この二種の全体変化の指標を過去二年間にわたって通覧すると、昨年中では二種がほとんど重なった動きを示していたものが、今年に入って8月以降、尻上がりにそのかい離を強め、AIの普及の度が拡大していることが判ります。
ただ、この11月に限った変動では、AI閲覧を含む「総ヒット数」の減少率は、生の読者のマニュアル閲覧の減少率の半分程(15.8%→7.5%)となっていて、AI読者の方が人間読者より比較的安定した「“低”気まま度」の傾向を示しています。
「AI衝撃」の三部門
そこで、各部門別の分析ですが、まず、上のグラフのように、この11月、三つの部門すなわち「MaHaの世界」(桃色線)、「理論人間生命学」(緑線)、「近量子生活」(青二重線)で、AI閲覧による大規模な変動が見られます。
そのうちの最大の変化が「近量子生活」(青二重線)で、10月の2,249ヒットから16,449という7倍を越える劇的な伸びを示し、そのほとんどは、11月23日と24日の二日間で発生しています。加えてこの伸びは「3. 未来に見るポータル」の章――死を念頭においた「越境」が主要テーマ――に集中して起こっています。
第二は「MaHaの世界」(桃色線)で10月に6,868へと急減していたものが、11,915へと大反発したものです。これは8月のわずか225から9月の14,406へと64倍増した後のこの変動で、この激しい上下動は、8月までのささやかな変動と比べれば、まさに人間沙汰のものではありません。
第三に「理論人間生命学」(緑線)ですが、これは、9月の1,006が10月の22,061へと22倍増し、それが1月に4,739へと急落したものです。この乱高下もAI作用なしではありえないものです。先月に報告したように、この激変も同部門中の〈第2部 人生という「実験」〉に集中して発生したものです。
こうした三大変動の原因ですが、いずれも、先進的な議論を多く引用しており、それがキータームとなってAIのアルゴリズムの網にかかったものと推定されます。
「AI影響」から逃れた部門
AIによる影響から逃れたと見られる部門で、増加したものは、「人生はメタ旅に向かう」(黒線)と「時空地球」(茶色線)と「本サイトについて」(灰色線)の三項目が、2000ヒットあたりに集中して見分けにくいですが、ともに上昇しています。
また、「生命情報」(青線)、「その他」(紫点線)、「セルフ生殖社会」(黄色線)そして「四分の三」(黄緑線)が、AI影響下とみられる10月のピークから急減しています。
これらの“AI低影響”な部門は、独自の用語で述べられているものがほとんどで、AIのアルゴリズムが拾うキータームはあまり使われていない傾向があります。