新カテゴリー「自分彫刻」の設置
この「自分彫刻」というカテゴリーは、基本的に、〈非科学-科学〉を論じる場として設置するものです。
と言ってもこの〈非科学-科学〉は、既存の科学を念頭にそのオルターナティブな要素を追究しようとするものですが、既存の科学体系に代わる新科学体系自体の提示を意図するものではありません。あくまでも、私が認識する従来科学への対抗概念を〈非科学-科学〉と名付け、その方向に向けて、既存科学の対象外とされた要素を開拓、追究しようとするものです。
言ってみれば、それはまだ誕生したばかりの新生児で、ただ〈非科学-科学〉との名前のみが与えられた、まったく新たな存在です。
つまり、そうした新生児を育ててゆく場として、この新カテゴリーが設けられたということなのですが、既述のように、この〈非科学〉という概念の中核には、物質科学にはない、自己創出(オートポイエーシス)的で、自分で自分を生み育ててゆく――その新生児が同時にその新生児の親でもあるという――特性を内包しています。
その自己創出の考えをこの私自身の関心に当てはめれば、「自分実験」という――自分で自分を実験台にしてゆく――プロセスをもつ手法に立ってゆくということでもあって、そうした自分で自分を制作するという特徴を、「自己彫刻」という言葉で象徴的に表そうとするものです。
「科学」+「芸術」
また、「自分彫刻」という言葉、ことに「彫刻」という言葉は、言うまでもなく、芸術の一分野を指すもので、そこには、「科学」の領域とはことなる、いっそう広い創出活動を前提にしています。
言い換えれば、〈非科学-科学〉には、「自分彫刻」という自己創出する芸術制作活動がその根底に想定されているということです。
つまり「自分彫刻」という用語をもって、「科学」+「芸術」といったより広い創造領域を目指すものです。
ことに、「科学」という、とかく物的機械論を念頭とした議論を越えて、生命のおこなう精緻な情報の領域をもカバーしようとの想定です。
ブレインストーミングを手法に
ともあれ、〈非科学-科学〉の議論はその端緒についたばかりで、この先の発展に、方向の上でも範囲の上でも、予断ができません。
そういう「とっかかり」としての段階として、まずは、あらゆる発想や展開を〈ブレインストーミング〉式に表してゆきたいと思います。
そしてこの「とっかかり」段階をことに「創生期」と呼んで、初期的な試みをそこに表わしてゆきます。
そして将来、ある程度の構成上の見通しが立った段階で、例えば「組み立て期」とも呼んで、つぎの段階に進んでゆこうと考えています。