今月のレポートでは、まず何より、下のグラフでの4月の前例のない変化に注目いただきたいと思います。わずか一か月で起こった、全面的かつ物凄い増加です。これほどの増加は、これまでに経験したことはありません。そして、その全面的増加を注意深く見ると、穏やかと劇的という、様相の異なった二つの変化が見られます。
ひとつは「日平均訪問者数」(赤線)で、これまでのレポートもこの数値を主柱にその推移を見てきています。そしてこの4月は173人と、3月の156人から17人の増加という穏やかなものです。その結果、昨年後半以来の乱高下状態からは脱し、170人台という新しいステージに移りつつあります。
変化の二つ目は、部門別の数値において、二部門を除き、その各々に劇的な伸びがみられることです。それは上記「日平均訪問者数」の10パーセント程度の伸びどころではなく、2倍、3倍というもはや飛躍で、きわめて驚異的です。
このように、この4月は、同じ伸びではあっても、その程度が著しく異なる二種の増加があり、その違いの由来が気になるところです。
「自分彫刻」の伸び顕著
そこでまず、その推測の前に、この飛躍的伸びの各々を見ておきます。
そのもっとも顕著なものは、「その他」(紫点線)の3.9倍が数量と倍率ともにトップで、それに続いて倍率順に、「四分の三」(黄緑線)の3.4倍、「自分彫刻」(空色線)の3.3倍、「近量子生活」(青複線)の2.3倍、「時空地球」(茶色線)の2.2倍、「生命情報」(青線)の2.1倍、「人生はメタ旅へ向かう」(黒線)の2.0倍、「理論人間生命学」(緑線)の1.7倍、そして、「セルフ生殖社会」(黄土色線)の1.1倍となります。
1倍に達しなかったのは、「本サイトについて」(灰色線)の14.1パーセントのみで、減少したのは、「フィード」(ピンク点線)のマイナス1.4パーセントのみです。ともに、コンテンツの内容自体との関係は弱い、イントロ的な部門です。
以上のように、数量と倍率ともにトップ3位のうち、1位の「その他」の大半のコンテンツは毎月の当レポートで、それがこれほどに注目を集めているというのは、読者の視点の質――単なる「一見さん」ではない――を物語っていそうです。第二の「四分の三」は、数値自体が少なく、傾向として限定的です。第三の「自分彫刻」については、これは最新の分野で、まだ3か月の公開経過しかもっていないフレッシュな記事です。それがこれほどの、言わば全体を先導しているかの成長を見せているのは、今後への大きな期待が置けるものです。
「AI読者」か「ヒューマン読者」か
さてそこで、上述のような、二種の大きく異なった伸びの形態がみられる原因です。それを知る手がかりとして、先の記事「生命アナログ」で立てた仮説を適用してみます。
それは、デジタル数理アルゴリズムは「メタ量」という生命アナログ量を認識できないのではないかという仮説であったのですが、『両生歩き』と『フィラース』という互いに密接に関係した二つのサイト同士でありながら、AI効果と考えられるその現れ方の対照的な差の理由を探ってものです。
つまり、怒涛のようなAIの波及とは言え、それはまだその動向の初期であり、したがってその内実は、数理アルゴリズムに乗りやすい、比較的に、数理上典型的な情報の範囲と考えられ、「メタ量」といったいわば有機的な数量の把握は今後の発展にゆだねられるものと判断されます。したがって、当サイトに関する限りでは、日平均訪問者数といったアクセスログ上でも把握しやすいものから、その影響が及んできているはずです。
一方、兄弟サイト『両生歩き』での同様なレポートは、来る7日発行の第491号に掲載しますが、そこでは、先月、同サイト上に顕著に現れた、いわば「AI読者」といった効果が減退している模様です。
そこで、今の段階で判断しうる結論を述べれば、AIによる本『フィラース』への遅れているインパクトは、日平均訪問者数の穏やかな増加から判断しても、まだ、本格的には到来していないようで、本『フィラース』はまだ、「ヒューマン読者」の独壇場であると言えそうです。
つまり、この4月段階で見られる二種の変化を解釈すれば、ひとつは、AI効果以前の日平均訪問者数上での変化であり、第二の飛躍的な変化とは、やはりAI以前の本サイト独自の範囲内の変化と考えられます。
そのような観点から、これはやや勇み足な暫定的結論ですが、当『フィラース』へのAI効果が遅れているのは、仮説でいうところの、「メタ量」がAIにとっては理解が難しい、とみにヒューマンな要素であるからであると言えそうです。
だからこそ、前号で論じた、「生命アナログ」といった観点は、到来中の「AIの世紀」の中で、独自な分野を築いてゆくものとなりそうです。