「MaHa」の学的最前線(その3)

科学が科学から脱皮する

前記の目次から、まず「第1章 カオスと複雑系の時代で」を見ましょう。

ここで挙げられている「カオスと複雑系」と称される新たな科学の分野こそ、科学の最先端の辺縁分野のひとつ――すなわち“非”科学的な分野――への筆頭の取り組みです。

だからこそ同章では、松岡、津田の両者による科学の「新しい世界観を提示したカオス理論」として対話され、その「カオス」がさらに「線形数学から非線形数学へ」と、数学的に解き明されていると紹介されています。平たく言えば、ものすごく高度な数学の分野での、数学機械であるコンピュータを駆使した、シミュレーション解明ということです。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(その2)

早すぎた「惨寿」

松岡正剛さんの逝去に、日本の書店では、彼の諸著書を平積みにした「追悼 松岡正剛」と銘打つ売り場が出現しているだろうと想像しています。そうした彼のじつに惜しまれる「惨寿」なのですが、その死がそのように訪れなければならなかった理由も、先述した3月7日付け「千夜千冊」の「総括表明」のごとく、自身の「内臓」感覚に、豪気な意図に「かまけた」、無頓着であったゆえです。 続きを読む

「MaHa」の学的最前線(その1)

いま、手元に『初めて語られた 科学と生命と言語の秘密』(文春新書 1430)と題する本(電子版)があります。同書は、もうたびたび引用してきている編集工学研究所所長松岡正剛とカオス理論の確立者であり複雑性科学の第一人者でもある津田一郎との対談録です。2023年10月に発行された本ですが、私にとって、タイミングとしても内容としても、もっともエキサイティングな一巻です。 続きを読む

サイト訪問統計分析レポート(2024年7月)

順調な増加基調

この数か月に生じてきたAIによる大規模なインパクトは、この7月ではおおむね解消したかに思われます。下のグラフが示すように、7月の「日平均訪問者数」(赤線)は、6月の186人から191人へとわずかに増加したものの、各部門別はほぼすべてにわたり大きく下落しました。この全減少は、AIインパクトの一巡に、夏枯れとオリンピック視聴の影響が加わった相乗効果と思われます。 続きを読む