人生はメタ旅へ向かう(3)

第3章 健康法としてのメタ旅

本章では、「メタ旅」について、まださほど注目されていないながら実用的な側面に焦点をあててみます。それに確実に高齢者向きでもあります。それは、メタ旅を、狭義では治療法、広義では健康法として活用しようという観点です。すでに、病気予防や健康増進については、身体面への取り組みを柱に、大きな前進を見せてきており、旅一般が広い環境つくりとして、その取り組みの一環となっています。そこでその旅をメタ旅としてそのメンタルな面に注目する時、ある特異な効用が浮かび上がってきます。たとえば、健康維持や増進にとって、運動の果たす役割は一種の万能薬的効用をもって、その取り組みの要となっていると言ってよいでしょう。それと同じように、メンタル面での健康維持対策においても、運動の大事さが着目されるのです。さらには運動は、身体と精神の両機能を健全にかつ総合的に結びつける要素ともなっており、逆に運動不足が、今日の私たちの心身ともの不健康の大きな原因となっています。そしてそのような健康の源泉ともいうべき運動が広く身心両面を結び付けながら実行されるのが旅です。さらに、そうした運動のうち、不健康や高齢を原因として、その物理的運動に制約が生じてきた場合、残された健康資源としていっそうの働きを担うのがメタ旅と言うことができます。つまり、旅がもたらす効用のうち、健康のためにより根源的な働きをなすがメタ旅なのです。 続きを読む